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079 雁門紫塞 雞田赤城
  Yan4men2 Zi3sai4, Ji1tian2 Chi4cheng2.

 前行に続き、中国を経巡ります。雁門・紫塞・雞田・赤城はすべて地名です。固有名詞ですが、一応、『新華字典』で調べておきましょう。基本的に第1義を採ります。
 「雁」は1義のみ。
 「門」は第1義。
 「紫」は1義のみ。
 「塞」は多音字で、「一 sai1」「二 se4」「三 sai4」の三音ですが、ここは第三の音を採ります。「边界上的险要地方」です。
 「雞」は1義のみ。
 「田」は第1義。
 「赤」は第1義。
 「城」も第1義です。
 地名を羅列しただけで、無味乾燥のようですが、対句は面白いですね。「雁」と「雞」が鳥の名として対となり、「紫」と「赤」とが色の名として対になります。
 前句については、『文選』卷十一に収められている鮑照の「蕪城賦」に「南馳蒼梧漲海,北走紫塞鴈門」とあるのに基づいているのが確かで、紫塞は万里の長城、鴈門は山西省の地名です。ただ、雞田と赤城については定説がないようです。美しい対句を作るために、無理に押し込んだのでしょうか。