2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『辞通』を使ってみる

前回、第108行に「矯手頓足,悦豫且康」と見えた「悦豫」は双声語です。現代中国語の発音、日本漢字音で発音してみて、双声・畳韻語であると思えるものについては、『辞通』に当たって調べてみましょう。 ただしこれは、いわば応用編に当たる学び方なので、…

108を読む

108 矯手頓足 悦豫且康 Jiao3 shou3 dun4 zu2, yue4yu4 qie3 kang1. 『千字文』の学習に戻りましょう。前行の「絃歌酒讌,接盃舉觴」を承けて、宴会の楽しみを描きます。 「矯」は、『新華字典』を見ると「一 jiao3」「二 jiao2」の二音ですが、ここは前者の…

筍の音は?その二

第106行「晝眠夕寐,籃笋象床」に出てきた「笋」の字をどう読むのか?これについて引き続き考えてみたいと思います。 『漢語大詞典』では「籃筍」(「笋」は「筍」の異体字)という熟語の場合、xun4と読むように指示しています。「筍」をxun4と読むことにつ…

経典釈文

一つの漢字に複数の音がある場合、それは「多音字」と呼ばれます。この「文言基礎」でも、多音字については一々指摘しています。しかし古代においては、一つの漢字を「読み分ける」習慣は、どうやら、存在しなかったらしいのです。つまり、多音字はなかった…

筍の音は?その一

第106行「晝眠夕寐,籃笋象床」に出てきた「籃笋」ですが、この「笋」の字をどう読むかにつき、Hirshさまからご質問をいただきました。 『新華字典』から離れてしまいますが、今回の『漢語大詞典』の記述にあたったときの疑問です。「籃」に以下のようにあり…

107を読む

107 絃歌酒讌 接盃舉觴 Xian2ge1 jiu3yan4, jie1 bei1 ju3 shang1. 「絃」は『新華字典』では「弦」の字を見ますが、その第4義「乐器上发声的线」です。 「歌」は第1義。 「酒」は1義のみなので、意味として迷うことはないのですが、説明中に「有刺激性,多…

106を読む

106 晝眠夕寐 籃笋象床 Zhou4 mian2 xi1 mei4, lan2sun3 xiang4chuang2. 「晝」は『新華字典』では1義のみ、「白天」。 「眠」は第1義。 「夕」は第1義「日落的时候」、第2義「夜」の二つですが、ここは後者がよいでしょう。 「寐」は1義のみ。 「籃」は1義…

105を読む

105 紈扇員潔 銀燭煒煌 Wan2shan4 yuan2jie2, yin2zhu2 wei3huang2. (使用人のいるような)裕福な家庭の室内を描写します。 「紈」は『新華字典』では1義のみ、「细绢,很细的丝织品」。 「扇」は「一 shan4」(中古音の去声)、「二 shan1」(中古音の平声…

104を読む

104 妾御績紡 侍巾帷房 Qie4 yu4 ji4fang3, shi4 jin1 wei2fang2. 家庭内の描写が続きます。この行では、家庭内にいる女の使用人の仕事を描きます。 「妾」は『新華字典』の第1義「旧社会的男子在妻子以外娶的女子」でよいでしょう(ただし、『千字文』の文…

『辞通』について

先日、コメント欄にてご要望いただいた、双声・畳韻語を調べるための工具書、『辞通』を「学退筆談」にて、3回にわたり、ご紹介いたしました。よろしければ、ご一読ください。 音に因りて義を求む 首施とは何ぞや?『辞通』編纂始末 『辞通』の価値が分から…

103を読む

103 親戚故舊 老少異粮 Qin1qi1 gu4jiu4, lao3shao4 yi4 liang2. 食物の話題を続けながらも、少し方向をかえて、家族・縁者中の食事の様子です。 「親」は『新華字典』を見ると、第1義に「亲属,有血统或夫妻关系的」「特指父母」とあり、第4義に「亲戚,因…

102を読む

102 飽飫享宰 飢厭糟糠 Bao3 yu4 xiang3zai3, ji1 yan4 zao1kang1. 前行に続けて、食事の話題です。 「飽」は『新華字典』の第1義「吃足了,跟"饿"相对」。 「飫」は1義のみで「饱」。 「享」は『新華字典』によると「享受,受用」の1義です。ここでは、ノー…