2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

037を読む

037 篤初誠美 慎終宜令 Du3 chu1 cheng2 mei3, shen4 zhong1 yi2 ling4. 「篤」は『新華字典』の第1義です。 「初」は1義のみ。 「誠」は第1義「真心」が本義でしょうが、この場合は副詞で、第2義「实在,的确」がそれに当たります。 「美」は第1義。 「慎」…

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036 容止若思 言辭安定 Rong2zhi3 ruo4 si1, yan2ci2 an1ding4. 「容」は『新華字典』の第4義「相貌,仪表」です。 「止」は、よい定義が見あたりません。大きな辞書には、「人的儀態舉止」の義が載っています。「容止」の語は『春秋左氏伝』襄公三十一年「…

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035 川流不息 淵澄取映 Chuan1 liu2 bu4 xi1, yuan1 cheng2 qu3 ying4. 「川」は『新華字典』の第1義。「流」も同様です。 「不」は「副词。1. 表示否定的意义」です。 「息」は第2義。「经久不息」の例が挙げられています。 「淵」は1義のみ。 「澄」は多音…

多音字と去声

「中国語の漢字は、原則的に1字1音」と単純化して説明されることがありますが、非常に安易でミスリーディングな物言いです。 1字に複数の読みがある「多音字」が少なくないことについては、「多音字について」のエントリーで紹介しました。 その「多音字」の…

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034 似蘭斯馨 如松之盛 Si4 lan2 si1 xin1, ru2 song1 zhi1 sheng4. 「似」は多音字で、『新華字典』では「一 si4」「二 shi4」の2音ですが、文言では前者のみ用います。この第1義です。 「蘭」は1義のみ。 「斯」は、『新華字典』では第1義が代名詞、第2義…

典故と古典

「典故」というのは、文章を書く際の「よりどころとなる古典の文句」のことです。中国においては、先秦時代から秦代・前漢時代と、質量ともに優れた文献が蓄積され、前漢末に劉向・劉歆の父子が国家的な図書事業を成し遂げる頃までに、後世にも多大な影響を…

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033 臨深履薄 夙興温凊 Lin2 shen1 lv3 bo2, su4 xing1 wen1qing4. この行は、前の第32行「孝當竭力,忠則盡命」を受けて、特に「孝」、両親に仕えることを説いたものです。 まず、典故の指摘をしておきましょう。「臨深履薄」の句は『詩経』小雅、「小旻」…

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032 孝當竭力 忠則盡命 Xiao4 dang1 jie2 li4, zhong1 ze2 jin4 ming4. 「孝」は『新華字典』の第1義を採ります。 「當」は、多音字で、「一 dang1」(中古音の平声)、「二 dang4」(中古音の去声)の2音ありますが、ここでは前者、その第5義です。「应当,…

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031 資父事君 曰嚴與敬 Zi1 fu4 shi4 jun1, yue1 yan2 yu3 jing4. この1行にも典故があり、それを理解しておいた方が分かりやすいでしょう。すなわち、『孝経』士章に「資於事父以事母而愛同,資於事父以事君而敬同」とあるのに基づきます。 「資」は『新華…

「文言基礎」のメリット

『千字文』を学ぶメリットについては、以前にもお伝えしましたので、今日は、「文言基礎」メソッドの誇れるところをご披露したいと思います。手前味噌で恐縮ですが、しばらくおつきあいください。 安く「文言」を学べます。中国の伝統文化を学ぶには、確かに…

030を読む

030 尺璧非寶 寸陰是競 Chi3bi4 fei1 bao3, cun4yin1 shi4 jing4. 「尺」は、多音字で『新華字典』では「一 chi3」「二 che3」の2音ですが、ここは前者、その第1義です。ただ、これは「市制」すなわち、現在の制度に基づいた説明です。 「璧」は1義のみ。 「…

029を読む

029 禍因惡積 福縁善慶 Huo4 yin1 e4 ji1, fu2 yuan2 shan4 qing4. この1行は、対句であるのですが、2通りの文法的理解が可能です。すなわち、「因」「緣」を述語とする理解と、「積」「慶」を述語とする理解の二つです。ここでは前者に従って理解しておきま…

古代の字書、『爾雅』

いつの時代に出来たものか、よく分かりませんが、『爾雅』という書物があります。「周公がその一部を作った」という説から、「漢代の儒者が作った」という説までありますが、ともかくも中国で一番古い字書であり、儒教の経典を理解するためには欠かせない参…

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028 空谷傳聲 虚堂習聽 Kong1gu3 chuan2 sheng1, xu1tang2 xi2 ting1. 「空」は、多音字で、『新華字典』によると「一 kong1」(中古音の平声)と「二 kong4」(中古音の去声)の2音です。両者の読み分けはわりと難しいのですが、これまでも繰り返しているよ…

027を読む

027 徳建名立 形端表正 De2 jian4 ming2 li4, xing2 duan1 biao3 zheng4. 「徳」は、『新華字典』の第1義を採ります。 「建」は1義のみです。 「名」は第3義です。 「立」は第2義「做出,定出」の2「建树:立功」が当てはまります。 「形」は、意味的には第3…

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026 景行維賢 克念作聖 Jing3xing2 wei2 xian2, ke4 nian4 zuo4 sheng4. 「景行」は、『詩経』を出典とする熟語で、『詩経』小雅「車舝」の詩に「高山仰止,景行行止」とあります。『詩経』は非常に古い時代に作られた詩を集めた詩集ですから、それぞれの詩…

真草千字文について

第26行以降の本文については、明日以降に再開することとしまして、今日は、『千字文』をお手本にして、楷書と草書を習う、というお話をいたしまして、第25行目までの復習の最終回とさせてもらいます。 書道のお手本として『千字文』を習う、というのは、実は…