『千字文』復習(2)『詩経』の引用

 『千字文』は、『詩経』をたくさん引用しています。ほかの古典よりも、はるかに多くの引用があります。挙げてみましょう。

016 遐邇壹體,率賓歸王。 (小雅「北山」:「率土之濱,莫非王臣」)
017 鳴鳳在樹,白駒食場。 (大雅「卷阿」:「鳳皇鳴矣,于彼高岡」。小雅「白駒」:「皎皎白駒,食我場苗」)
025 墨悲絲染,詩讚羔羊。 (召南「羔羊」:「羔羊之皮,素絲五紽」)
026 景行維賢,克念作聖。 (小雅「車舝」:「高山仰止,景行行止」)
033 臨深履薄,夙興温凊。 (小雅「小旻」:「戰戰兢兢,如臨深淵,如履薄冰」。小雅「小宛」:「夙興夜寐,毋忝爾所生」)
040 存以甘棠,去而益詠。 (召南「甘棠」:「蔽芾甘棠,勿翦勿伐,召伯所茇」)
045 孔懷兄弟,同氣連枝。 (小雅「常棣」:「死喪之威,兄弟孔懷。原隰裒矣,兄弟求矣」)
046 交友投分,切磨箴規。 (衛風「淇奧」:「有匪君子,如切如磋,如琢如磨」)
057 肆筵設席,鼓瑟吹笙。 (大雅「行葦」:「或肆之筵,或授之几」。小雅「鹿鳴」:「我有嘉賓,鼓瑟吹笙」)
058 升階納陛,弁轉疑星。 (衛風「淇奧」:「有匪君子,充耳葰瑩,會弁如星」)
071 俊乂密勿,多士寔寧。 (大雅「文王」:「濟濟多士,文王以寧」)
083 俶載南畝,我藝黍稷。 (小雅「大田」:「俶載南畝,播厥百穀」。小雅「楚茨」:「自昔何為,我藝黍稷」)
088 貽厥嘉猷,勉其祗植。 (大雅「文王有聲」:「詒厥孫謀,以燕翼子」)
100 易輶攸畏,屬耳垣墻。 (小雅「小弁」:「君子無易由言,耳屬于垣」)
112 骸垢想浴,執熱願涼。 (大雅「桑柔」:「誰能執熱,逝不以濯」)

 『詩経』は、国風・雅(小雅と大雅)・頌から成りますが、どういうわけか、『千字文』が引用する『詩経』は小雅が圧倒的に多いのです。その理由は、私には分かりません。

 まだまだ、私の気づいていない『詩経』の引用が『千字文』に隠れているはずです。『辞源』をお持ちの方は、調べて補足してください。