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100 易輶攸畏 屬耳垣墻
  Yi4you2 you1 wei4, zhu3 er3 yuan2qiang2.

 「易」は『新華字典』によると、音は"yi4"で、第1義から第6義まであります。ところが『広韻』では、「以豉切」(去声)と「羊益切」(入声)と、声調により読み分けています。日本漢字音でも「イ」「エキ」と意味により読み分けます。つまり、本来二つあった音が、現代北京音では同じ音となってしまった例です。『新華字典』の第1義・第2義・第5義・第6義の意味では去声、第3義・第4義の意味では入声で読みました。ここは、第1義を採りますが、厳密に言うと、「軽率」の意です。
 「輶」は第2義「轻」。
 「攸」は1義のみ。
 「畏」は第1義です。
 「屬」は多音字で、「一 shu3」「二 zhu3」と読み分けますが、ここは後者の第2義「集中在一点」です。
 「耳」は第1義。
 「垣」も第1義です。
 「墻」は1義のみ。
 この行は全体として、『詩経』小雅「小弁」の「君子無易由言,耳屬于垣」を典故としているようです。
 前行の「耽讀翫市,寓目囊箱」と合わせようとしたのだと思いますが、よく見ると、合っているのは「寓目囊箱」と「屬耳垣墻」だけですね。