004を読む

004 閏餘成歳 律呂調陽
  Run4yu2 cheng2 sui4, lv4lv3 tiao2 yang2.

 『新華字典』による「閏」の説明はとても詳しいですね。熟語として「闰年。闰月」が挙げられているわけも、それですんなり納得できます。
 「余」を見ると、「(1-3餘)yu2 1.剩下来的,多出来的」云々とあり、「4.文言代词,我」とあります。これは、第1義から第4義のうち、第1義から第3義までに限り、繁体字で「餘」と書く、という指示です。第4義で用いる場合は、「餘」と書けないわけです。ここでは、第1義を採ります。
 また面白いことに、「余」のすぐ後の項目に、「馀(餘)yu2 同“余1.2.3”(馀简化为余,用余意义可能混淆时,用馀。如文言句“馀年无多”)」とあります。たいていの場合は「余」を用いるのですが、紛らわしい場合には繁体字に近い「馀」を用いるのですね。
 「成」は第7義を、「歳」は第2義を採ります。
 「律」は第2義を採りますが、ここに次の「呂」の説明も出ています。なお「律呂」ということばは、「双声語」と呼ばれる特別な語です。
 「調」には「一 tiao2」と「二 diao4」という2音ありますが(多音字です)、ここでは前者です。
 「阳(陽)」は第2義です。長い説明ですが、この字がどのように認識され、使われるのかが、よく分かります。がんばって写してください。ただ、「律呂調陽」の句の意味は分かりにくいかも知れません。しかし、これをいま分かろうとする必要はありません。というより、この段階では、分かろうとしないでくだいさい。
 この行は対句でできており、「閏餘」と「律呂」が対(ともに名詞)、「成」「調」が対(ともに動詞)、「歳」「陽」が対(ともに名詞)です。『千字文』はほとんどすべて対句で出来ていますが、これも対句ですね。
 構文としては、「閏餘」「律呂」が主語(主语 zhu3yu3)、「成」「調」が述語(谓语 wei4yu3)、「歲」「陽」が目的語(宾语 bin1yu3)です。構文の説明は、必要に応じ、あらためてしたいと思っています。