032を読む

孝子郭巨(南北朝)

032 孝當竭力 忠則盡命
  Xiao4 dang1 jie2 li4, zhong1 ze2 jin4 ming4.

 「孝」は『新華字典』の第1義を採ります。
 「當」は、多音字で、「一 dang1」(中古音の平声)、「二 dang4」(中古音の去声)の2音ありますが、ここでは前者、その第5義です。「应当,应该」と簡単な定義です。助動詞と考えられます。次にくる「竭」が動詞になります。
 「竭」は1義のみ。「竭力」がまさにその用例としてあげられています。
 「力」は第1義です。
 「忠」は1義のみですが、「赤诚无私,诚心尽力」と説明されており、封建道徳としての意味に限定されてはいません。
 「則」は第4義の「连词」(接続詞)と、第5義の「副词」で迷いますが、ここでは、後者でしょう。
 「盡」は、『新華字典』では「尽(盡)一 jin4」と「尽(儘)二 jin3」の2音を挙げますが、これは前者、その第2義です。
 「命」は第1義です。
 文法的には対句になっています。「孝」「忠」が主語(名詞)、「竭力」 「盡命」が述語(「動詞+目的語」(「动宾」)構造)、というのは完全な対を成していますが、主述をつなぐ「當」「則」の品詞は一致しません。当時、これくらいは許容範囲だったのでしょう。