031を読む

031 資父事君 曰嚴與敬
  Zi1 fu4 shi4 jun1, yue1 yan2 yu3 jing4.

 この1行にも典故があり、それを理解しておいた方が分かりやすいでしょう。すなわち、『孝経』士章に「資於事父以事母而愛同,資於事父以事君而敬同」とあるのに基づきます。
 「資」は『新華字典』の第2義「供给」です。ただ、より正確にいうと、この字には「与える」意味と「取る」意味という、互いに方向を反対にする二つの意味が同居しており(漢語に特徴的な現象で、このような字を「反訓」と呼びます)、この場合は後者です。『新華字典』がここまで説明していないのは、少し残念です。
 「父」は多音字で「一 fu4」「二 fu3」の2音ですが、「基本的に前者を採る」原則に従い、前者を採ります。その第1義です。
 「事」は第6義、「旧指侍奉」がこれに当たります。「文言」ですから、「旧」と書いてある項目は要注意です(項目の説明の後方に退けられていますが)。
 「君」は1義のみ、やはり「封建时代」云々の説明があります。
 「曰」は第2義でよいでしょう。
 「嚴」は第2義。
 「與」は多音字で、「一 yu3」(中古音の上声)、「二yu4」(中古音の去声)、「三yu2」(中古音の平声)と3音ありますが、原則に従い、上声のそれです。その第1義です。ただし、読み分けをよく理解してください。
 「敬」は第1義です。
 この行は、対句にはなっていません。