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041 樂殊貴賤 禮別尊卑
  Yue4 shu1 gui4jian4, li3 bie2 zun1bei1.

 「樂」は『新華字典』を見ると多音字であることが分かり、「一 le4」「二 yue4」(ともに入声)の二音です。『千字文』の場合、たいていの多音字については第1の音をとればよいのですが、ここでは後者「音乐」です。
 「殊」は第1義でよいのですが、形容詞ではなく、動詞として用いられています。
 「貴」は第2義。
 「賤」も第2義です。
 「禮」は第1義「由一定社会的道紱观念和风俗习惯形成的为大家共同遵行的仪节」です。この解釈は中国の伝統をよく踏まえて書かれています。儒家においては、「禮樂」が重視されており、中国の伝統的な価値観にまでそれがしみこんでいるからです。ちなみに、「禮」に当たるものを英語で表現しようとすると、ritual, ceremony, courtesy, manners, customなど、さまざまに使い分けても、なお表現しつくせないといわれます。
 「別」は多音字で「一 bie2」「二 bie4」の2音ですが、前者の第2義。
 「尊」にはついては、第1義の例として「尊卑」が挙がっています(「贵」の項に「贵贱」は挙がっていませんでした)。
 「卑」は1義のみ。
 この1行は、完全な対句になっています。
 リンクした動画は、1978年に湖北省で発見された、戦国時代の曾侯乙という諸侯の墓を紹介したテレビ番組ですが、ここに古代の巨大楽器「編鐘」が登場します。6:25から、少しだけ演奏もありますので、ご覧ください。中国古代の「禮樂」文化を体現した青銅の楽器です。