046を読む

046 交友投分 切磨箴規
  Jiao1 you3 tou2 fen4, qie1mo2 zhen1gui1.

 「交」は『新華字典』の第3義で、「交朋友」の例が挙げられています。
 「友」は第1義。
 「投」は第5義「合」の「2.相合」で、「情投意合」の例が見えます。
 「分」は多音字で「一 fen1」(中古音の平声)、「二 fen4」(中古音の去声)と、声調による読み分けがあります。ここは後者、第1義を採っておいてください(ただし、あまりぴったりとはしませんが)。
 「切」も「一 qie1」、「二 qie4」と現代北京音では声調により読み分けますています。ただ、中古音では両方とも入声音(『広韻』の「千結の切」)であったようです。『千字文』の用法に相当するのは前者、その第1義に「切磋」の熟語が見えます(「切磨」は「切磋琢磨」をつづめた語)。
 「磨」にもまた「一 mo2」(中古音の平声)、「二 mo4」(中古音の去声)の
読み分けがあり、ここは前者の第1義です。ついでに「琢 zhuo2」を引くと、「琢磨」の熟語が見えます。
 「箴」は第2義「劝告,劝诫」です。
 「規」は第3義「相劝」です。
 この1行、友人との交友を説いたものです。「切磋琢磨」は『詩経』衛風「淇奧」に「有匪君子,如切如磋,如琢如磨」とあるのが典故です。もともとは「切」「磋」「琢」「磨」とも、宝玉を加工することを意味する動詞だったということです。
 玉といえば、第6行に「金生麗水,玉出崑崗」とあったのが思い出されますね。また第30行の「尺璧非寶,寸陰是競」とあった「璧」も玉でした。