047を読む

047 仁慈隱惻 造次弗離
  Ren2ci2 yin3ce4, zao4ci4 fu2 li2.

 「仁」は『新華字典』の第1義です。熟語「不仁」の説明に「不仁慈」とありますので、「仁慈」が熟していることが分かります。
 「慈」も第1義。
 「隱」は、残念ながら『新華字典』には相当するものがないので、とりあえず第1義を写しましょう。意味は「哀憐」「同情」などということです(より大きな辞書には載っています)。
 「惻」は1義のみ。「惻隱」の熟語が挙がっています。こちらの方が一般的です。
 「造」はとりあえず第4義を採っておいてください。熟語として「造次」が挙げられており「仓促,匆促」と説明されています。
 「次」はとりあえず第3義を採っておいてください。
 「弗」は1義のみ。
 「離」は第2義です。
 全体としては、『論語』里仁篇の「君子無終食之間違仁,造次必於是,顛沛必於是」を典故としています。「隱惻」は『孟子』公孫丑上の「惻隱之心」を踏まえています。
 「造次」という語については、説明を要します。「双声語」と呼ばれる語で、一つずつの漢字には意味はなく、単に音を用いてある状態を表現しているのです。「草次」などと書いても同じ意味になり、『新華字典』で説明として用いている「倉促」「匆促」なども非常に近い語です。「双声語」については、回をあらためてお話しします。