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戦国曾侯の瑟

057 肆筵設席 鼓瑟吹笙
  Si4 yan2 she4 xi2, gu3 se4 chui1 sheng1.

 第54行「宮殿磐鬱,樓觀飛驚」を承けた、洛陽・長安の宮殿の描写が続きます。
 「肆」は『新華字典』には適当な例がありません。第1義を採っておいてください。ここでは「陳設」と釈します。『詩経』大雅「行葦」の詩に「或肆之筵,或授之几」とあります。これを典故とした文句です。
 「筵」は第1義。上記の「行葦」の詩に基づきます。
 「設」も第1義。
 「席」も第1義です。
 「鼓」は第2義。例として「鼓吹」が挙がっています。
 「瑟」は1義のみ。
 「吹」は第1義。
 「笙」は1義のみです。
 前句「肆筵設席」が『詩経』を典故とするなら、後句「鼓瑟吹笙」もおそらくは『詩経』に典故を持つはずだと推測できます。『詩経』小雅「鹿鳴」の詩に「我有嘉賓,鼓瑟吹笙」と、それが見いだされます。
 「肆筵」と「設席」とが対、「鼓瑟」と「吹笙」とが対を成します。さらに、前句と後句とも対句になっています。