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067 磻溪伊尹 佐時阿衡
  Pan2xi1 Yi1yin3, zuo3 shi2 E1heng2.

 「磻」を『新華字典』で引くと、まさに「[磻溪]古水名,在陕西省宝鸡东南」とあります。
 「溪」は、1義のみ。
 「伊」はとりあえず第1義を採りますが、「伊尹」は固有名詞、人名です。
 「尹」も、同様にとりあえず第1義を採ります。
 「佐」には、「旧读(zuo4)」とあり、その第1義に「辅佐,帮助」とあります。
 「時」は第2義「时间的一段」の第1「比较长期的」で、例として「古代」「唐代」「盛极一代」が挙がっています。「比较长期的」と言っても、幅がありますが、ここでは「盛极一代」がもっとも近いでしょう。
 「阿」は多音字で「一 a1」と「二 e1」と、二つ音がありますが、「阿衡」の場合は後者で読みます。「阿衡」は伊尹の官名とされる特殊な語彙(固有名詞に近い)なので、分析しても意味はありませんが、とりあえず第1義を採ります。
 「衡」も、同様にとりあえず第1義を採ります。
 「磻溪」は有名な太公望が釣りをしていた場所で、これにより周の文王を補佐した太公望を示していると考えられ、殷の湯王を補佐した伊尹と対にしています。
 「阿衡」は明らかに伊尹のことなので、「佐時」は太公望のことを書いていると考えるべきでしょう。しかし、意味は分かりますが、文法的には通りにくいです。
 洛陽・長安の街の描写を離れ、以下しばらく、歴史上の名君・名臣たちを描きます。