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068 奄宅曲阜 微旦孰營
  Yan3 zhai2 Qu1fu4, wei1 Dan4 shu2 ying2.

 「奄」は『新華字典』では、第1義「覆盖」でよいでしょう。
 「宅」は1義のみですが、ここは動詞として用いられています。
 「曲」は「一 qu1」「二 qu3」と読み分けますが、中古音では入声の一音のみ(「丘玉の切」)。ここでは前者の第1義を採っておきます。「曲阜」は、現在の山東省の地名で、孔子の生地。
 「阜」も第1義を採ります。
 「微」は、とりあえず第1義をとりますが、意味はずれます。ここは「無,沒有」という意味で、『論語』憲問篇に「微管仲,吾其被髮左衽矣」とあるのと同様です。単なる否定の副詞ではありません。訓読では「なかりせば」と読み、接続詞と理解できます。
 「旦」は、とりあえず第1義をとりますが、周公旦の名の部分、固有名詞です。
 「孰」は、第1義。
 「營」は、第3義でよいでしょう。
 『史記』魯世家によると、「封周公旦於少昊之虛曲阜,是為魯公.周公不就封,留佐武王」とあり、周公旦が魯に赴くことはなかったそうです。