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071 俊乂密勿 多士寔寧
  Jun4yi4 mi4wu4, duo1shi4 shi2 ning2.

 第67行「磻溪伊尹,佐時阿衡」以来述べてきた名君・名臣たちの描写を締めくくります。
 「俊」は、『新華字典』の第1義「才智过人的」です。
 「乂」は1義のみですが、ここでは「俊」と近い意味です。
 「密」は、とりあえず第1義をとりますが、「密勿」と熟して双声語です。
 「勿」も、同様に第1義を採ります。『新華字典』に載っているのは、否定の副詞ですが、ここでは双声語なので、その意味はありません。
 「多」は第1義。
 「士」は第1義「古代介于卿大夫和庶民之间的一个阶层」でよいのですが、第3義「指读书人」、第4義「对人的美称」も近いものです。あえて区別する必要もありません。
 「寔」は、第2義「同"实"」です。
 「寧」は第1義です。
 「俊乂」は『尚書』陶謨に「俊乂在官」とあり、一方の「多士」は同じ『尚書』にその名も「多士」篇があります。
 一方、『詩経』大雅「文王」の詩にも「濟濟多士,文王以寧」とあり、「多士寔寧」の句はそれを踏まえたものでしょう(Hirshさまのご指摘により、2009年11月17日、補いました)。
 「密勿」は双声語で、まめまめしく働くさまを表す語とされます。中古音で表記すると"mĭĕt mĭuət"となり、声母がともに明母です。韻母も「密」が質韻、「勿」が物韻と類似しています。