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098 遊鵾獨運 凌摩絳霄
  You2kun1 du2 yun4, ling2mo2 jiang4xiao1.

 おそらくは、前行の「落葉飄颻」に続けているのでしょう、「鵾」の大いなる飛翔を描いて、この段落をしめくくります。
 「遊」は『新華字典』によると、「游」の第2義・第4義・第5義のうちですが、ここではその第2義「不固定」を採りましょう。
 「鵾」は1義のみ。
 「獨」は第1義。
 「運」も第1義です。
 「凌」は第3義、「升,高出」。
 「摩」は多音字で、「一 mo2」「二 ma1」の二音ですが、文言では前者で、第一義の「摩擦」という意味でよいのですが、そこから派生して「迫近,接近」という意味になることが、より大きな辞典で確認できます。
 「絳」は1義のみ。
 「霄」は第1義「云」でよいでしょう。
 『文選』巻一三に収める張華「鷦鷯の賦」に「彼鷲鶚鵾鴻,孔雀翡翠,或淩赤霄之際,或託絕垠之外」と見える「鵾」が、『千字文』の典拠でしょう(倉田淳之助氏の説)。いずれにせよ、『荘子』冒頭の「北冥有魚,其名為鯤.鯤之大,不知其幾千里也。化而為鳥,其名為鵬」と関わりがあることは確かですが。
 短い段落でしたが、ここで第六段は終わりです。