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109 嫡後嗣續 祭祀蒸嘗
  Di2hou4 si4xu4, ji4si4 zheng1chang2.

 「嫡」は『新華字典』の第1義に「封建宗法制度中称正妻」とあり、さらに派生義(「引」)として「正妻所生的:嫡子。嫡嗣」とあります。
 「後」は、第4義「后代,子孙」です。
 「嗣」は第1義。
 「續」も第1義です。
 「祭」は、第2義「供奉鬼神等」。ただし、第1義と第2義を分ける必要をあまり感じません。
 「祀」は第1義。
 「蒸」は第1義をとりあえず採りますが、ここは特定の祭祀を示す語で、残念ながら、『新華字典』には載っていない義です。私の愛用している中型辞典、『辞源』を見ると、その第6義に「古代祭名。参見「烝」(二)」とあるので、それを見ると、「冬の祭り」の意であることが分かります。さらに「蒸嘗」を見よ、とあり、「蒸」が冬の祭り、「嘗」が秋の祭り、であることが分かります。
 「嘗」も第1義をとりあえず採りますが、『千字文』の文脈では、上述の通り、「秋の祭り」の意味です。
 第84行「税熟貢新,勸賞黜陟」の部分で「新」は新しく秋に収穫した穀物である旨、そして日本の「新嘗祭」は古代中国の儀礼を受け継いでいることを述べましたが、この「嘗」も「新嘗祭」のそれです。ただし、ここは皇帝とか天皇とかの話ではなく、一般家庭の先祖祭祀なのでしょう。