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121 指薪脩祜 永綏吉劭
  Zhi3 xin1 xiu1 hu4, yong3 sui2 ji2shao4.

 「指」は『新華字典』の第3義「用尖头对着」。
 「薪」は1義のみ。
 「脩」は、第2義に「同"修"」とありますので、「修」を見ると、その第1義に「使完美或恢复完美」とあります。
 「祜」は1義のみ「福」。
 「永」は第2義「长久,久远」。
 「綏」は第2義「平安」。
 「吉」は1義のみ。
 「劭」は第2義「美好」。
 このうち、「指薪」は分かりにくいのですが、『莊子』養生主篇に「指窮於為薪,火傳也,不知其盡也(指の働きは(すでに燃えている薪に)薪を近づけるに過ぎないが、それで火が伝わり、尽きることがない)」とあるのが典故です。『千字文』のように「指薪」と書けば「薪を指さす」意味にしかなりませんが、言いたいのは、次々と薪に火を伝えてゆくように(聖火リレーのようなものです)、子々孫々、生命をつないでゆく、ということでしょう。
 なお、「祜」の字を「祐」と誤っている本が結構あります。「文言基礎」で底本としている「真草千字文」では正しく「祜」としています。古写本・古版本はともかく、新しく校訂本を出版するときは、このような誤りを修正すべきでしょう。
 「祜」は上声、「祐」は去声です。『千字文』の第八段では、この位置に去声字を置きませんから、「祐」が誤字であると分かります。詳しくは、「奇数句の4字目の音について」を参照してください。