韻の確認練習

 現在読み進めている『千字文』の第三段落を用いて、韻を確認してみましょう。この段落で韻を踏んでいるのは、次の11字です。

「卑」「隨」「儀」「兒」「枝」「規」「離」「虧」「疲」「移」「縻」

 これらをまとめて「広韻検索システム」で検索してみると、次の結果が得られます。

「卑」 1例
   上平 5:支 府移切 20丁表02行目
「隨」 1例
   上平 5:支 旬爲切 18丁表07行目
「儀」 1例
   上平 5:支 魚羈切 19丁表02行目
「兒」 2例
   上平 5:支 汝移切 19丁表07行目
   上平 12:齊 五稽切 41丁表10行目
「枝」 1例
   上平 5:支 章移切 16丁裏09行目
「規」 1例
   上平 5:支 居隋切 21丁裏03行目
「離」 3例  
   上平 5:支 呂支切 19丁表08行目
   去声 5:[007257] 力智切 04丁裏05行目
   去声 12:霽 郎計切 18丁裏09行目
「虧」 1例
   上平 5:支 去爲切 18丁表08行目
「疲」 1例
   上平 5:支 符羈切 19丁表04行目
「移」 1例
   上平 5:支 弋支切 17丁表04行目
「縻」 1例
   上平 5:支 靡爲切 17丁裏06行目

 「5:支」「12:齊」などとあるのが、中古音の韻です。『広韻』を見ると分かるのですが、全部で206韻あり、声調ごとに韻に番号を振ってありますので(上平声が28・下平声が29・上声が55・去声が60・入声が34)、数字はそれを示したものです。
 この11字、すべての字に平声「支」韻の読みがあることが分かります。「兒」「離」は多音字ですが、『千字文』の文脈では「支」韻で読むことが推測できます。
 『広韻』をお持ちの方は、上平声の第16丁から第21丁にかけてのところを開いてみてください。すべての字が指示通りの箇所に確認できるはずです。
 なお、「上平声」「下平声」というのは、平声の字数が多いので、便宜上分けてあるだけのものですから、上・下を気にする必要はありません。
 「反切」の読み方については、次回お伝えします。