双声・畳韻語まとめ

 漢語の語彙のうち、双声・畳韻語を理解することが重要であると、縷縷述べてきました。ここで、一度、まとめをしておきます。

 私の理解する双声・畳韻語の定義は次の通りです。

双声語は声母が共通する二字を連用する語。
畳韻語は韻母が共通(あるいは類似)する二字を連用する語。

 しかし、双声・畳韻語が成り立つためには、以下の諸条件がみな備わっているべきであると考えます。

  • 複数の表記を持つ(音を中心としており、表記に自由度があるため)。
  • 熟している(特定の個人が意図して作り、それが広く用いられることがなければ、双声・畳韻語と認めない)。
  • 双声・畳韻語に用いる二字は、互いに同等の文法的機能を持つ(動賓構造をとったり、修飾関係を持ったりしない)。

 実際的に声母と韻母とを調べる場合、私は郭錫良『漢字古音手冊』(北京大学出版社、1986)を見ます。同書を用いて、上古音と中古音の音韻地位と推定音価とを調べます(あくまで、便宜的な方法なので、参考程度にしてください)。畳韻語の場合ならば、段玉裁『説文解字注』で上古音の韻部を確認してすます、というのでもかまいません。

 そのうえで、『辞通』に当たって調べてみると、「複数の表記をもつこと」「熟していること」などを確認でき、それ以外にも、いろいろなことが分かるはずです。