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093 求古尋論 散慮逍遙
  Qiu2 gu3 xun2 lun4, san4 lv4 xiao1yao2.

 「求」は『新華字典』の第1義、「设法得到」。
 「古」も第1義。
 「尋」も第1義です。
 「論」は「一 lun4」(中古音の去声)、「二 lun2」(中古音の平声、「倫」に通じる)と、声調により読み分けますが、ここは前者、第1義「分析、判断事物的道理」。後者に読むとする説もありますが、採りません(この段、韻字、すなわち偶数句末が「平声」なので、奇数句の末尾は「平声」以外の字を選んでいることに注意)。
 「散」も、「一 san4」「二 san3」と、声調によって読み分けますが、ここは前者の第3義「排遣」です。
 「慮」は、第2義。
 「逍」は1義のみで、まさに「逍遙(xiao1yao2)」とあり、「自由自在,无拘无束」と説明します。
 「遙」は1義のみ。
 「逍遙」は代表的な畳韻語です。「広韻検索システム」で調べると、次のようにあり、同じ「宵韻」に属することが確認できます。

「逍」 1例
  下平 4:宵 相邀切 08丁裏08行目
「遥」 1例
  下平 4:宵 餘昭切 09丁裏05行目

 以前から、双声語はしばしば『千字文』に登場しており、エントリー「双声語」で説明したのですが、畳韻語は今回が初登場です。ただ、第71行に「俊乂密勿」と出てきた「密勿」は、双声語でありながら韻も近いので、畳韻語とみなせなくもありません。