086を読む

086 庶幾中庸 勞謙謹敕
  Shu4ji1 zhong1yong1, lao2qian1 jin3chi4.

 前行で、孟軻・史魚の生き方を手本として挙げたのを承け、人の理想的な生き方を提案します。
 「庶」は『新華字典』の第2義に、まさに「庶几(ji1),将近,差不多:庶几乎可行」とあります。
 「幾」は、「一 ji3」「二 ji1」と声調で読み分けますが、「庶幾(庶几)」の場合は、第1声で読むことが、「庶」の項で分かりましたから、後者です。その第2義に「差一点,近乎」とあります。
 「中」も「一 zhong1」「二 zhong4」と声調により読み分けますが、ここは前者、その第3義を見てください。「性质等级在两端之间的」とあり、その「转」(転義)として「不偏不倚」、その例として「中庸」が挙げられています。
 「庸」は第1義。
 「勞」は第1義でよいでしょう。
 「謙」は1義のみ。
 「謹」は第1義。
 「敕」は1義のみで「帝王的诏书、命令」ですが、ここでは当たりません。大きな辞書では「敬慎」「整」などと訓じています。
 「勞謙」は、『易』の謙卦に「勞謙,君子有終,吉」とあるのが典故で、「勤勉で謙虚である」という意味のようです。ということは、「勞」は形容詞だろうと推測でき、『漢辞海』にも、形容詞として「まじめに努めるさま」との義が載せられています。