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014 坐朝問道 垂拱平章
  Zuo4 chao2 wen4 dao4, chui2gong3 ping2zhang1.

 「坐」は第1義を採ります。
 「朝」は、多音字で、『新華字典』によると「一 chao2」と「二 zhao1」の2音です。ここでは、前者の第3義です。
 「問」は第1義。
 「道」は、第3義「道理,正当的事理」です。
 「垂拱」「平章」は、それぞれ2字からなる動詞です。まず1字ずつはじめましょう。
 「垂」「拱」はそれぞれ第1義を採ります。
 「平」は、第3義の「安定,安静:平心静气。风平浪静」です。
 「章」は、なかなかぴったりとくるものがありません。同音の「彰」の方の義に近いので、こちらを採ってください。同音の字を用いる、「音通」の例です。大きな辞書ならば、「章」の項目に、これらの義も載っています。
 この1行、主語が省かれていますが、前の行との連絡から、古代の帝王が主語で、そのことを述べたものと分かります。「坐朝」「問道」「垂拱」「平章」はその述語です。
 「坐朝」「問道」は、それぞれ熟しており、1語とみなしてよいのですが、このページでは、このような「動詞+目的語」の構造になっているものについては、一応、発音の間にスペースを入れてそれを明示します。
 問題は「垂拱平章」です。「垂拱」は「垂衣拱手」の略で、帝王が民生に介入せず、自然な統治をする、というような意味ですが、一方の「平章」によって何を伝えたいのか、いまひとつよく分かりません。上記のような意味として、ひとまず理解してください。『尚書』堯典の「平章百姓」という語に基づくと思われ、その場合、「pian2zhang1」あるいは「bian4zhang1」と発音すべき、という説もありますが、ここでは普通の読みに従っておきます。
 これ以上のことに踏み込むと、注釈学の領域に入ります。私自身は注釈学が大好きで、普段はそんなことばかりやっているのですが、初歩の段階、つまり『千字文』の暗誦が終わっていない段階では、学習の妨げになるだけですので、深追いしないでください。