022を読む

022 知過必改 得能莫忘
  Zhi1 guo4 bi4 gai3, de2 neng2 mo4 wang2.

 「知」は『新華字典』の第1義を採ります。
 「過」は「一 guo4」「二 guo1」の多音字ですが、後者は「姓」なので、前者を採ります。その第6義ですが、例として「改过自新。知过必改」とあります。まさに『千字文』と一致します。
 「必」は、発音のすぐ後に「副词」とありますので、副詞として用いられることが分かります。その第2義です。
 「改」は第3義です。その例に「知过必改」とあります。『新華字典』の場合、同じ例が重複して挙げられることは多くないのですが、ここでは「過」のところと重複しているわけです。そうとうに熟したことばなのでしょうね。
 「得」は第1義「得到」か第4義「完成」か、迷うところですが、「迷った時は第1義と採る」という方針でゆきましょう(第1義は根本的な意味なので)。
 「能」も第1義「能力,才干,本事」と第3義「能够,胜任」との間で迷いますが、前者を採りましょう。
 「莫」は第1義。
 「忘」は難題です。この字を調べると「wang4 忘记,不记得,遗漏」とあります。これでも意味は通じます。しかし、以前にも指摘したとおり、この前後、偶数句の最後の字は、すべて現代北京音でいうと「ang」の平声を含む音で韻を踏んでいます。「忘」が「wang4」(中古音の去声)であるとすると、韻を踏まないことになります。そこで、ここはどうしても平声(現代北京音の第1声か第2声)で読みたいところです。『漢語大詞典』によると、「通"亡"」とあり「喪失,失去」の義が載っています。ここでは、これに従いましょう。「亡 一 wang2」の第1義の「引」(派生義)に「失去:亡羊补牢。唇亡齿寒」とあります。これを採りましょう。
 この第22行も上の句と下の句とが対句になっています。「知」「得」は動詞、「過」「能」は名詞、「必」「莫」は副詞、「改」「忘」は動詞です。「知過則必改,得能則莫忘」とあれば分かり易いのですが、「則」が省略されています。


★「忘」字については、補足説明しましたので、ご覧ください。