こういう方に「文言」学習をおすすめします

 「文言」を読みたいと願っている方を、このサイトの主な対象と考えていますが、それ以外に、「文言を読むぞ」とまだ決意したわけではないけれども、関心はある、という方もいらっしゃることでしょう。私は志のない人に無理強いするのはいやなのですが(意欲を失った時の励まし方を知らないから、という理由です)、敢えていえば、次に述べるような人には、学習をおすすめできます。

  1. 中国文学・中国思想・中国史を学んでいる方、学びたい方。「おすすめ」というよりは、「必要」に近いと思います。たとえあなたが「自分は近現代にしか関心がないから不要」と思っても、「文言」を読めると読めないでは、近現代に対する理解も大違いなのです。
  2. 日本文学・日本語学・日本史を学んでいる方、学びたい方。授業などを通じ、「訓読」は一応できるようになったが、とても「白文」は読めない、と感じている方は大勢います。日本研究を専門とされている大学教員・その他の知識人の方々でも、自信を持って「中国語の文言なら読めます」と胸を張れる人は、ほとんどいないようです。正統的な中国語の文言が読めれば、多くの日本の資料をより精確に、より深く読むことができるのですが。
  3. 書家の方、書道を学ばれる方。たとえば、同じ中国の名家の作を臨書するにせよ、中国語の「音」が自分の心に響いて書くのと、そうでないのとでは、違います。むろん、自分の書くものの内容を自力で把握することも大切でしょう。
  4. 中国に関心をお持ちの方、中国旅行を趣味とする方(昨今の「中国嫌い」の風潮の中では、少数派かもしれません)。めまぐるしく変貌を続ける現在の中国にも、「文言」は生きています。また、「文言」が中国を生かしている面もあります。
  5. ただただ「文言」を読んでみたいと、直観的に思った方。動機として、もっともすばらしいかもしれません。それだけに、気力をいかに維持するかが問われますが、がんばってください。

 「文言」読解は、「古典」とじかに向き合う主体的な行為ですから、啓蒙書などから受動的に知識を得ることなどとは、まるで異なる貴重な体験をすることが出来ます。今後、より多くの方が「文言」を自力で読みこなし、古くて新しい「古典」の力を見いだされることを願っています。