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016 遐邇壹體 率賓歸王
  Xia2er3 yi1 ti3, shuai4 bin1 gui1 wang2.
 「遐」は、『新華字典』の第1義に「远:遐迩(远近)。遐方。遐想」とあります。次の「邇」字と熟していますね。また『千字文』の熟語が出ました。
 「邇」は1義のみ。「遐邇」は、直接には「遠いことと近いこと」ですが、ここでは「遠くの人も近くの人も」という程度の意味でしょうか。
 「壹」には「"一"字的大写」とあります。「壹」「贰」「叁」「肆」「伍」「陆」「柒」「捌」「玖」「拾」「佰」「仟」のすべての字について、同様の説明があります。確認してみてください。
 その上で、「一」を引いてみましょう。第2義の「纯,专:一心一意」でよいと思います。
 「體」は「一 ti3」と「二 ti1」の2音ですが、ここは前者の第2義でよいでしょう(第1義でもよいです)。
 「率」は多音字で、「一 shuai4」「二 lv4」の2音が載っていますが、ここでは前者です。
 「賓」は1義のみなので、それを書き写しますが、実は同音の「濱」字の音通です。その1義を採ってください。
 「率賓」は、『詩経』小雅、北山の詩に「率土之濱,莫非王臣」とあるのに基づく語です。古代の中国では、海は地の果てと考えられていたので、海辺と言えば辺境です。意味は、「領土のうち、浜辺から内側は、すべて」ということで「四海之内」と同様の意のようです(王引之の説)。『新華字典』には適当な義が載っていませんが、とりあえず第1義で満足しておきましょう。
 「歸」は第1義。
 「王」は多音字で、「一 wang2」と「二 wang4」の2音ありますが、ここでは前者です。
 文法的には「遐邇」「率賓」が名詞で主語、「壹體」「歸王」が動詞で述語になります。さらに「壹體」「歸王」の内部を分析すると「壹」「歸」が動詞で述語、「體」「王」が名詞で目的語、となります。