『千字文』を学ぶ素晴らしさ

越王勾践の剣

 『千字文』を学ぶ素晴らしさ、5点。
 第1点、漢字の「音」を学べます。基本の1000字を現代中国語音で覚えてしまうのですから、後の学習が断然、楽になります。これを一足飛びにして難しい漢籍に挑戦しようとしても、一字一字の発音調べでへとへとに疲れます。
 第2点、漢字の「意味」を学べます。『千字文』の文脈の中で記憶し、4字1句とか、8字2句とかの単位で記憶がよみがえるので、ほかのものを読むときに楽です。
 第3点、漢字の「形」を学べます。智永という隋代の僧侶が写した『真草千字文』が日本に伝わっていますが、これをもとに、楷書と草書の基本を学べます。『康煕字典』などより、はるかに古典的で美しい「形」を学べます。
 第4点、文言の「対句」を学べます。「対句」をたくさん学んでおけば、後でいくらでも応用が利きます。また、文法の理解にも大いに有益です。
 第5点、文言の「韻律」を学べます。これを暗誦すれば、はっきりと押韻箇所が把握できるのはもちろんですが、「平仄」と呼ばれる文言のリズムにも意識が向くようになります。