単漢字と熟語

 中国語を構成する一つ一つの単語は、中国語では「词 ci2」と呼ばれ、品詞(「词性 ci2xing4」または「词类 ci2lei4」)に分類されます。「文言」にいくつの品詞があるのかについて、手近にある『漢辞海』(第2版)の付録、「漢文読解の基礎」では、次の12種、と説明されています。

名詞・動詞・助動詞・形容詞・数詞・量詞・代詞・副詞・前置詞・接続詞・助詞・嘆詞

 「文言」で書かれた文章は、すべて「词」という単位により構成され、この12種の品詞に分けることができます。
 「词」には、一つの要素で出来ている「单纯词 dan1chun2ci2」と、複数の要素で出来ている「合成词he2cheng2ci2」があります。
 「单纯词」は、「人」「山」など単漢字の語が中心ですが、漢字2文字で構成されるものもあります。気分や雰囲気を擬音的・擬態的に表現する、「双声」「叠韵」語がそれですが、これについては機会を改めて説明します。「合成词」は、複数の要素を組み合わせて出来ている語で、もちろん複数の漢字で構成されます。
 12月18日付にてお示しした『千字文』の本文には中国語発音「拼音 pin1yin1」を示してありますが、よく見ていただくと、「天地」は「tian1di4」と続けて書き、「寒來」は「han2 lai2」と分かち書きにしてあることに気づかれるでしょう。スペースで区切ってあるのが、「词」の単位と考えていただいて結構です。
 単漢字の「单纯词」の場合は、『新華字典』で調べれば、その意味が書いてあります。『新華字典』は熟語をあまり採録していないので、「合成词」を調べるのには不向きです。熟語を調べる際には、『辞源』という辞書を用いるのがよいのですが、『千字文』の暗誦を始めたばかりの人がこの辞書を使うのは、少し早いと思います。そのうちに説明します。
 現代中国語では「文言」と比較して、「合成词」の割合がかなり高くなっているので、単漢字を基礎にして学習するのは必ずしも効率的ではありませんが、「文言」には単漢字の「词」が多いので、この一字一字を覚える方法がよいと思います。
 「合成词」の構造などについては、少しずつお話ししてゆきます。