「対」と熟語

 「天地 tian1di4」という語(「词」ci2)を考えてみましょう。これは、「天 tian1」と「地 di4」とからなる「合成词」、ということになります。もちろん、「天」も「地」もそれぞれ独立して語となることもありますが、この場合は、結合して一語となっているわけです。
 「天」も「地」も、独立して語となる場合、その品詞は名詞です。品詞が同じであるだけでなく、意味上も対(つい)を成しています。このような関係にある二文字は、結合して一語になりやすいのです。
 「宇宙 yu3zhou4」も同じで、「宇 yu3」と「宙 zhou4」とは、ともに名詞、そして片方は空間を意味し、もう片方は時間を意味しており、意味上、対(つい)を成しています。それで両者が結合し、「宇宙」という一語ができたわけです。
 対を成す字どうしは、二字の「合成词」を作りやすい、ということになりそうです。
 また「玄 xuan2」と「黃 huang2」も対を成しますから、「玄黃」と一語(形容詞)になり、「洪 hong2」と「荒 huang1」も同様に「洪荒」と一語(形容詞)になります。
 つまり、『千字文』の冒頭の2句に含まれる4つの語は、すべて「対」で出来ているのです。『千字文』にはそれ以外にもいくつか「対」で出来た語がありますので、探してみてください。