2009-01-01から1年間の記事一覧

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122 矩歩引領 俯仰廊廟 Ju3 bu4 yin3 ling3, fu3yang3 lang2miao4. この行「矩歩引領,俯仰廊廟」と次の行「束帶矜莊,徘徊瞻眺」は、皇帝(梁の武帝)の御前に奉仕する、『千字文』の作者、周興嗣自身の姿を描いたものと考えられます。いよいよ、大詰めです…

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121 指薪脩祜 永綏吉劭 Zhi3 xin1 xiu1 hu4, yong3 sui2 ji2shao4. 「指」は『新華字典』の第3義「用尖头对着」。 「薪」は1義のみ。 「脩」は、第2義に「同"修"」とありますので、「修」を見ると、その第1義に「使完美或恢复完美」とあります。 「祜」は1義…

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120 璇璣懸斡 晦魄環照 Xuan2ji1 xuan2wo4, hui4po4 huan2zhao4. 前行の「年矢毎催」を「羲暉朗曜」とともに、この「璇璣懸斡,晦魄環照」が受けるかたちです。 「璇」を『新華字典』で引くと「美玉」とあり、さらに熟語として「璇玑」を挙げ、「古代天文仪…

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119 年矢毎催 羲暉朗曜 Nian2shi3 mei3 cui1, xi1hui1 lang3yao4. この行と次の行は、時間と日月星辰の運行の話題です。 「年」は『新華字典』の第1義でよいでしょう。 「矢」は第1義ですが、ここでは「年」の比喩として用いられています。 「毎」も第1義。 …

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118 毛施淑姿 工顰研咲 Mao2 Shi1 shu1zi1, gong1 pin2 yan2xiao4. 前行まで、その道の達人たちを述べて、ここでは、毛嬙・西施という、二人の有名な美女を紹介します。 「毛」は固有名詞ですが、これまで通り、『新華字典』の第1義を採っておきましょう。 …

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117 釋紛利俗 並皆佳妙 Shi4 fen1 li4 su2, bing4jie1 jia1miao4. 前の2行「布射遼丸,嵇琴阮嘯」「恬筆倫紙,鈞巧任釣」を承け、既に挙げられた名人・達人たちを褒めます。 「釋」は『新華辞典』の第2義「消散」で、例として、「冰释(喻怀疑、误会等完全消…

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116 恬筆倫紙 鈞巧任釣 Tian2 bi3 Lun2 zhi3, Jun1 qiao3 Ren2 diao4. 前行同様、特殊な技術・才能をもった人を紹介していきます。恬、倫、鈞、任は、それぞれ、秦の蒙恬、後漢の蔡倫、魏の馬鈞、東周の任公子です。 「恬」は、固有名詞ですが、これまで同様…

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115 布射遼丸 嵇琴阮嘯 Bu4 she4 Liao2 wan2, Ji1 qin2 Ruan3 xiao4. 最後の段落です。この行では、歴史上、一芸に秀でて有名な人物を四人、列挙しています。 「布」は漢末の武将、呂布。固有名詞については、これまで通り、『新華字典』の第1義を採ります…

本文その八

115 布射遼丸 嵇琴阮嘯 Bu4 she4 Liao2 wan2, Ji1 qin2 Ruan3 xiao4. 116 恬筆倫紙 鈞巧任釣 Tian2 bi3 Lun2 zhi3, Jun1 qiao3 Ren2 diao4. 117 釋紛利俗 並皆佳妙 Shi4 fen1 li4 su2, bing4jie1 jia1miao4. 118 毛施淑姿 工顰研咲 Mao2 Shi1 shu1zi1, gong1…

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114 誅斬賊盜 捕獲叛亡 Zhu1zhan3 zei2dao4, bu3huo4 pan4wang2. この段落、最後の一行です。 「誅」は『新華字典』の第1義「把罪人杀死」です。 「斬」は1義のみ。 「賊」は第1義「偷东西的人,盗匪」。 「盜」は第1義。 「捕」は1義のみ。 「獲」の簡化字…

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113 驢騾犢特 駭躍超驤 Lv2luo2 du2te4, hai4yue4 chao1xiang1. 前行からの接続は、あまりよく分かりませんが、動物の話です。 「驢」は『新華字典』では1義のみ、「一种家畜,像马,比马小,耳朵和脸都较长,能驮东西、拉车、供人骑乘」。 「騾」も1義のみ…

112を読む

112 骸垢想浴 執熱願涼 Hai2 gou4 xiang3 yu4, zhi2 re4 yuan4 liang2. この段落も終わりに近づき、やはり意味的な接続はとりがたくなってきました。 「骸」は『新華字典』の第2義「指身体」です。 「垢」は第1義。 「想」も第1義でよいでしょう。 「浴」は1…

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111 牋牒簡要 顧答審詳 Jian1die2 jian3yao4, gu4da2 shen3xiang2. 一見、前行「稽顙再拜,悚懼恐惶」との接続の意図が分からないのですが、小川環樹氏が、「稽顙再拜」「悚懼恐惶」とも、手紙の挨拶に用いる語であるから、「牋牒」「顧答」が導かれた、と言…

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110 稽顙再拜 悚懼恐惶 Qi3sang3 zai4bai4, song3ju4 kong3huang2. 前行に続けて、先祖祭祀の様子を描きます。 「稽」は、『新華字典』では「一 ji1」「二 qi3」の二音ですが、ここは後者「稽首,古时跪下叩头的礼节」です。 「顙」は1義のみ。 「再」は第1…

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109 嫡後嗣續 祭祀蒸嘗 Di2hou4 si4xu4, ji4si4 zheng1chang2. 「嫡」は『新華字典』の第1義に「封建宗法制度中称正妻」とあり、さらに派生義(「引」)として「正妻所生的:嫡子。嫡嗣」とあります。 「後」は、第4義「后代,子孙」です。 「嗣」は第1義。 …

『辞通』を使ってみる

前回、第108行に「矯手頓足,悦豫且康」と見えた「悦豫」は双声語です。現代中国語の発音、日本漢字音で発音してみて、双声・畳韻語であると思えるものについては、『辞通』に当たって調べてみましょう。 ただしこれは、いわば応用編に当たる学び方なので、…

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108 矯手頓足 悦豫且康 Jiao3 shou3 dun4 zu2, yue4yu4 qie3 kang1. 『千字文』の学習に戻りましょう。前行の「絃歌酒讌,接盃舉觴」を承けて、宴会の楽しみを描きます。 「矯」は、『新華字典』を見ると「一 jiao3」「二 jiao2」の二音ですが、ここは前者の…

筍の音は?その二

第106行「晝眠夕寐,籃笋象床」に出てきた「笋」の字をどう読むのか?これについて引き続き考えてみたいと思います。 『漢語大詞典』では「籃筍」(「笋」は「筍」の異体字)という熟語の場合、xun4と読むように指示しています。「筍」をxun4と読むことにつ…

経典釈文

一つの漢字に複数の音がある場合、それは「多音字」と呼ばれます。この「文言基礎」でも、多音字については一々指摘しています。しかし古代においては、一つの漢字を「読み分ける」習慣は、どうやら、存在しなかったらしいのです。つまり、多音字はなかった…

筍の音は?その一

第106行「晝眠夕寐,籃笋象床」に出てきた「籃笋」ですが、この「笋」の字をどう読むかにつき、Hirshさまからご質問をいただきました。 『新華字典』から離れてしまいますが、今回の『漢語大詞典』の記述にあたったときの疑問です。「籃」に以下のようにあり…

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107 絃歌酒讌 接盃舉觴 Xian2ge1 jiu3yan4, jie1 bei1 ju3 shang1. 「絃」は『新華字典』では「弦」の字を見ますが、その第4義「乐器上发声的线」です。 「歌」は第1義。 「酒」は1義のみなので、意味として迷うことはないのですが、説明中に「有刺激性,多…

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106 晝眠夕寐 籃笋象床 Zhou4 mian2 xi1 mei4, lan2sun3 xiang4chuang2. 「晝」は『新華字典』では1義のみ、「白天」。 「眠」は第1義。 「夕」は第1義「日落的时候」、第2義「夜」の二つですが、ここは後者がよいでしょう。 「寐」は1義のみ。 「籃」は1義…

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105 紈扇員潔 銀燭煒煌 Wan2shan4 yuan2jie2, yin2zhu2 wei3huang2. (使用人のいるような)裕福な家庭の室内を描写します。 「紈」は『新華字典』では1義のみ、「细绢,很细的丝织品」。 「扇」は「一 shan4」(中古音の去声)、「二 shan1」(中古音の平声…

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104 妾御績紡 侍巾帷房 Qie4 yu4 ji4fang3, shi4 jin1 wei2fang2. 家庭内の描写が続きます。この行では、家庭内にいる女の使用人の仕事を描きます。 「妾」は『新華字典』の第1義「旧社会的男子在妻子以外娶的女子」でよいでしょう(ただし、『千字文』の文…

『辞通』について

先日、コメント欄にてご要望いただいた、双声・畳韻語を調べるための工具書、『辞通』を「学退筆談」にて、3回にわたり、ご紹介いたしました。よろしければ、ご一読ください。 音に因りて義を求む 首施とは何ぞや?『辞通』編纂始末 『辞通』の価値が分から…

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103 親戚故舊 老少異粮 Qin1qi1 gu4jiu4, lao3shao4 yi4 liang2. 食物の話題を続けながらも、少し方向をかえて、家族・縁者中の食事の様子です。 「親」は『新華字典』を見ると、第1義に「亲属,有血统或夫妻关系的」「特指父母」とあり、第4義に「亲戚,因…

102を読む

102 飽飫享宰 飢厭糟糠 Bao3 yu4 xiang3zai3, ji1 yan4 zao1kang1. 前行に続けて、食事の話題です。 「飽」は『新華字典』の第1義「吃足了,跟"饿"相对」。 「飫」は1義のみで「饱」。 「享」は『新華字典』によると「享受,受用」の1義です。ここでは、ノー…

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101 具膳湌飯 適口充腸 Ju4 shan4 can1 fan4, shi4 kou3 chong1 chang2. 「具」は『新華字典』の第2義「备,备有」。 「膳」は1義のみ。 「湌」は「餐」の異体字で、第1義。 「飯」は第2義。 「適」は第1義「切合,相合」。この字の簡化字「适」には"kuo4"の…

100を読む

100 易輶攸畏 屬耳垣墻 Yi4you2 you1 wei4, zhu3 er3 yuan2qiang2. 「易」は『新華字典』によると、音は"yi4"で、第1義から第6義まであります。ところが『広韻』では、「以豉切」(去声)と「羊益切」(入声)と、声調により読み分けています。日本漢字音で…

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099 耽讀翫市 寓目囊箱 Dan1du2 wan2 shi4, yu4 mu4 nang2xiang1. 「耽」は『新華字典』の第2義。 「讀」は多音字で「一 du2」(中古音の入声)と「二 dou4」(中古音の去声)の二音ですが、ここは前者、1義のみです。「依照文字念」とありますから、音読の…